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Jul 27, 2018

真夏のビッグイベント「8耐」参戦ライダー達の私的バイクライフ Vol.3 中須賀 克行選手、渡辺 一馬選手、高橋 巧選手、野左根 航汰選手

2018年の「“コカ・コーラ” 鈴鹿8時間耐久ロードレース」に参戦する、注目ライダーたちのプライベートに迫るシリーズは、これにて完結。今年の8耐王者を狙う、話題のワークスライダーたちのバイクライフとは?

YAMAHA FACTORY RACING TEAM(#21) 中須賀 克行選手

「バイクはヤマハのYZF-R25とTMAXを持ってますが、あまり乗る機会がなくて。最近は子どもたちを乗せて、海を見に行ったりするくらいですね。息子が3人いて、一番下はまだ2歳だから何もわかってないと思うけど、小2と年長の2人はバイクに興味あるんですよ。将来息子にライダーになって欲しいとはまったく思わないですけど(笑)、自分が現役のうちに、レース業界全体をもっと夢を持ってもらえる場所にしていけたらと考えてはいます。子どもたちに少しでも夢を与えられる選手権にしていけたらいいなと思いますね。
自分は全日本選手権への参戦と平行して、MotoGPマシンのYZR-M1の開発もやっているので、基本、あんまり家にいることがないんですよ。家に帰っても3日後にはまた出張って感じなんで、無事に家に帰って『ただいま』を言えるとホッとします。帰った瞬間にチビたちはテンションMAXで出迎えてくれるので、疲れてるときはイヤなんですけど(笑)。ただ家でそうやって過ごす時間に癒やされるし、自分の蓄えになっていますし、息子たちの姿を見ると、次に向けてまた頑張らないけんなって思います。
あとはトレーニングの一環で、月に2~3回は、家から一時間半くらいの場所にある英彦山(ひこさん)っていう山を登っています。山登りは下半身に効くんですよ。バイクで使うのは上半身だけって思いがちですけど、じつは下半身の筋力が非常に大事なんです。山は路面が平坦じゃないですし、荷重のかけ方がつねに変わってくるので、インナーマッスルも鍛えられるんですね。もともと運動が好きなわけじゃないけど、やっぱりプロになってからは、結果を出すことが仕事なんで、その意味でもしっかりトレーニングをやらなきゃいけないってことで山登りを始めたんですが、季節の変化も感じられるし、いい気分転換になってますね」

毎年、ファンの有志がプレゼントしてくれるバッグ。

全日本でチャンピオンを獲ると、(チャンピオンの証である)ゼッケン1番だけは数字を好きにデザインできるんです。弟がアーティストなので、ヘルメットやゼッケン1番の数字をデザインしてもらってるんですけど、それを見たファンの方が同じデザインでバッグを作ってくれて。もう4~5年、毎年違うデザインで作ってくれてますね。基本“ギラギラ好き”なので、ファンの方もそれを知っててこのバッグを作ってくれてるんだと思います(笑)」

「今年はHRCも復活したし、他メーカーさんも本気を出してきてますから、近年になくレベルの高いレースになると思います。メーカー同士の熱いバトルも期待できますし、自分たちも4連覇という記録に向けて、つねにチャレンジ精神を忘れずにやっていきたいです。簡単なことじゃないですけど、とにかく一人ひとりがミスをしないように。8耐は100%の力を出し切るという当たり前のことが非常に難しいレースなので、それをしっかり決勝で出せるように、しっかり準備をして挑みたいと思います」

Kawasaki Team GREEN(#11) 渡辺 一馬選手

「基本的にバイクに乗ることが好きだし、いつでも乗れるようにしておきたいなと思って、20歳くらいの頃に大型免許まで取ったんです。でも実際には、なかなか乗る時間がないですね。普段の息抜きというと、僕、釣りが好きなんですよ。渓流釣りが好きで、虫をエサに鮎釣りしたりとか。母方の実家が釣具屋を地元でやってて、小さい時から道具は全部用意してもらえましたから(笑)。ただ、渓流のシーズンとレースのシーズンは重なってるので、あんまり頻繁には行けないんですけどね。
レース以外の日常は、トレーニングがメインです。それが仕事なので、やっぱりきちんと身体を作って、コンディションを整えておかないと。何もしてない時間はどうしてもレースのことを考えてしまいがちなので、煮詰まらないように、無理矢理にでもオフの時間を作って、オンオフをしっかり切り替えるようにはしています。ただ、僕ももう28歳だし、あと何年トップレベルの走りができるのかという気持ちがあって。限られた時間の中で、より良い結果を残すために、気持ちも行動もレースだけに全部向けたいと思っています。
行き当たりばったりは好きじゃないんで、一日のスケジュールもなんとなく流れは決めてます。人によるとは思いますが、やっぱり仕事ができる人はスケジューリングもしっかりできると僕は思うので。レースをする最大の目的が勝つことであれば、そこに向けてどう組み立てていくかは、つねに考えておく。目的に向かって筋道を立て、順序を立てて作っていくものだと思うので、それが普段の生活にも影響してるかなとは思いますね」

サーキットには必ず金閣寺の「勝守」を持参する。

「中学の修学旅行の時に初めて買ったんです。その時はもう全日本にも出ていたので、やっぱり金閣寺は“金”だし縁起がいいなと思って。その時から、金閣寺に行くたび買い直してます。これに限らず、いっぱいお守りを持ってるんですよ。お守り同士が喧嘩するって説もあるけど、僕は信じてれば無駄なことはないと思うし、何かしらきっと力になってくれると思ってますね」

 

「目指すものは優勝しかない。チームからもそう言われてますし、全員がそのつもりでレースをしています。そこに向けてチームで目標を立てていますし、ライダーに課せられた目標値もあるので、僕はライダーとして、その目標をしっかりクリアできるように、チームの戦力にしっかりなれるように頑張るだけかなって。それができれば、きっといい結果が残せると思います」

Red Bull Honda with 日本郵便(#33) 高橋 巧選手

「大型二輪の免許は持ってるし、高校生の頃はビックスクーターに乗ってたんですけど、いまは公道は一切走ってないです。街中を走る楽しさは、もうちょっとしたらわかってくるのかなって思います(笑)。
息抜きは睡眠ですね。クルマに乗るのは好きなのでドライブしたりもするけど、あとはもうひたすら寝てます。普段は起きたらランニングをするんですけど、レース直後とか、たま~に今日はいいかなって思うときは、そのままご飯も食べずにグダグダして、気づいたら夕方とか夜になってる日がありますね。
レースでは身体全部を酷使して走るので、全身疲労になるし、特に8耐だと長時間同じ姿勢でずっと乗っているので、腰が一番キツイかな。1時間近く走ると身体が固まってきちゃうのか、もうここ数年は何をやっても腰が痛くなってくるので、最後は我慢するしかないんです(笑)。全日本みたいなスプリントレースだったら、そんなに疲労は残らないですけどね。それよりも、移動の疲れの方が大きいです。新幹線とかで移動すればいいんですけど、電車があんまり好きじゃなくて、基本的にクルマで移動してるので。ただ、クルマ移動にはメリットもあって、その移動時間の中でひとりでレースのことを考えたりしています。サーキットに来たら周りに誰かしらいるから、自分を追い込んだり、ピリピリしたくないので。現場では、できれば楽しくやりたい(笑)。タイムが出ないとピリピリすることもあるけど、速く乗れていれば、基本はずっと楽しく乗れますから。
レース中はアドレナリンが出ているせいか、疲れてるはずなのに、帰ってからも全然眠くならないときがあります。8耐なんかは特にそうで、8時間走った後なのに、そのまんま朝までみんな騒いだりするんですよ。それも多分、レース中のアドレナリンのせいかなって思いますね」

持ち物にこだわりはないが、装備の中でも特にヘルメットは大切にしている。

「自分の命を守ってくれる一番大切なものなので、扱いは気をつけてます。グラフィックはだいたい年間通して同じデザインなんですけど、いまのデザインは結構気に入っていて、もう3年くらいずっと変えてないですね」

「自分が8耐で最後に勝ったのが2014年。その後3連敗していて、今年は8耐で勝つためにHRCが復活したんだと自分は思っています。何がなんでもヤマハの4連覇は阻止しないといけないと思うし、ここまでの悔しさを結果として残したいです。8耐は優勝するまでがかなり辛いレースですが、そのツラさを全て吹き飛ばしてくれるのは優勝だけ。レースが終わった後はチーム関係なく祝福ムードになるので、今年は久々にいいレースをして優勝して、表彰台の一番高い位置でみんなに祝ってもらえるようにしたいです」

そして最後に、今年の8耐に参戦予定はないが、昨年からヤマハファクトリーチームに所属し、現在は日本ロードレース選手権 JSB1000クラスに参戦中の野左根 航汰選手にも話を聞いた。今後の日本レース界を背負うひとりとして周囲の期待を集める若手ライダーは、どんなプライベートを過ごしながら、未来を見据えているのだろうか。

YAMAHA FACTORY RACING TEAM 野左根 航汰選手

「原付免許しか持ってないので、プライベートではバイクに乗らないんです。取りたい気持ちはあるけど、なかなかきっかけがなくて。自分は結構趣味が多い方で、ゲームやラジコンがすごい好きなんですよ。レースを始めたのが7歳の時で、ラジコンもその頃から大好きでした。主にやるのはドリフトラジコンやオフロードですけど、いま大流行しているタミヤの『ダンシングライダー』っていう三輪バイクラジコンの、9月に桶川で開催される全国大会に出ようと思ってます。ラジコンもやり込んでいくと二輪レースと共通点があって、『今日は接地感が感じられないな』とかあるんですよ。嘘みたいだけど本当です(笑)。
今年の8耐は、もちろん自分も出たい気持ちはありました。ただ、4連覇という史上初の記録がかかっているし、去年と同じ実績あるメンバーの方が確実性は高いと思っています。実際、6月末の非公開テストで一緒に走った時も、(8耐ファクトリーチームのアレックス・ローズ選手やマイケル・ファン・デル・マーク選手は)本当にいきなり来て、ポーンってすぐ走れちゃうんですよ。そういう部分でも、やっぱあの3人には今は正直敵わないし、もうちょっと自分が頑張らないとライダーとして選ばれないなって思いました。
ライダーとしての最終目標はずっと変わってなくて、やっぱりMotoGPで戦いたい。でも今のままでは難しいので、もっと頑張っていかないといけないなと思います。まずは全日本チャンピオンを獲ってからじゃないと、その先の世界選手権は難しいと思うので、今は全日本での目標達成だけを考えていますね」

レース時も、普段からつけているSEV+takuma-gpのlooperやアクセサリーは装着したまま。

「SEVは去年の日本GPで骨折した時に青木拓磨さんからもらったんです。それと持ち物とは違いますけど、レース前は必ず近所の神社と自分の父のお墓にお参りしてから挑むようにしています。一回忘れたときに転んだので、それがちょっとトラウマになってるんです」

選手達の熱い走りは”EWC/鈴鹿8時間耐久ロードレース 速報”にて現地からお届けします。

Profile

撮影/阿部昌也 取材・文/齋藤春子

Tire Information

RACING BATTLAX V02
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